母からの

それは、俺の誕生日の前日に届いた。

正体不明の一通の手紙。
差出人の名前はなし。 宛先は俺の名前だけ。 切手も消印ももちろんない。 俺は、その手紙を開いた。
シンプルな白い便箋に、シンプルな文面。


 お誕生日おめでとう。
 生きてくれてありがとう。
 病気にはくれぐれも気をつけて、
 これからもどうか元気に暮らしてくださいね。

  母より


見覚えのある懐かしい字。 ありえない。 なのに涙が溢れた。
それは、先月亡くなった母からの、最後の手紙。 今日は四十九日だった。