僅かに陽の気配の漂う空 慣れた道を歩き 飛び出した部屋へと立ち戻る 硬く冷たい灰色の階段 静寂を乱すのは己が足音 冷たい風を 清涼と感じ始める時分 人の営みが動き出す中 落ちかける意識を必死に繋ぎ止め ようやくたどり着いた自室の扉 鍵など掛けずに飛び出した 取っ手を引いた そこに立つ いるはずのない人 ――おかえり 朝日を背に受けて微笑んだ それは 眩しすぎる 光