5 眩しすぎる光

僅かに陽の気配の漂う空


慣れた道を歩き
飛び出した部屋へと立ち戻る
硬く冷たい灰色の階段
静寂を乱すのは己が足音

冷たい風を
清涼と感じ始める時分

人の営みが動き出す中
落ちかける意識を必死に繋ぎ止め
ようやくたどり着いた自室の扉

鍵など掛けずに飛び出した
取っ手を引いた

そこに立つ
いるはずのない人


――おかえり


朝日を背に受けて微笑んだ

それは
眩しすぎる 光