「森の賢者のお嫁さん」

作:あやどりみつき 2019/09/14
ゼフェル:17 リリ:18

ゼフェル
森の賢者と呼ばれる長命の一見少年の姿をした男性。

リリ
森の賢者に父親の受けた呪いを解除してもらおうとする少女。



  リリ「困ったわ……この辺りのはずなのに」
ゼフェル「どうしたんじゃ、お嬢ちゃん」
  リリ「えっと……君、この辺りの子?だったら、森の賢者の家を知らないかしら」
ゼフェル「森の賢者に何用じゃ?」
  リリ「父さんが魔女に呪いを貰って帰ってきたの。呪いの解除方法を、森の賢者なら知っているはずでしょう?」
ゼフェル「ほう、魔女に呪いをのぅ……一体お嬢ちゃんの父親は、何をしでかしたんじゃ?」
  リリ「しでかしたって、別に父さんは悪いことなんてしてないわ」
ゼフェル「普通の人間にはそうでも、魔女にとっては悪いことじゃったかも知れんじゃろう」
  リリ「……さっきから、君は一体何なの。それに、私の方が年上なのに、お嬢ちゃんなんて呼び方は失礼よ」
ゼフェル「そうじゃなあ……お嬢ちゃんが探しとる森の賢者ってのは、ワシのことじゃよ」
  リリ「冗談、でしょう」
ゼフェル「信じないならそれでも構わんが……呪いの解除方法が知りたいんじゃろ?」
  リリ「う、わかった、信じる。信じるわ。だから森の賢者、父さんの呪いを解いて頂戴」
ゼフェル「それはまあ、出来んことはない」
  リリ「よかった」
ゼフェル「じゃが、タダと言う訳にはいかん」
  リリ「お金取るの?」
ゼフェル「金は別にいらん。金じゃなくて……そうじゃな、お嬢ちゃん」
  リリ「ん?」
ゼフェル「お嬢ちゃんをワシにくれ」
  リリ「……どういうこと?」
ゼフェル「ワシは一人暮らしじゃ。それに毎日暇を持て余しとる」
  リリ「家事手伝いと退屈しのぎに付き合えばいいのね?」
ゼフェル「そういうことじゃ」
  リリ「……いいわ。期間はいつまで?」
ゼフェル「お嬢ちゃんが死ぬまで」
  リリ「は?」
ゼフェル「ワシの寿命は長くてのぅ。10人目の嫁にきてくれと言うとるんじゃ」
  リリ「はいー!?ちょ、ちょっとまって、まって、それは話が違うというか」
ゼフェル「嫌なら別にいいんじゃがなー」
  リリ「それも待ってよ!」
ゼフェル「いやあ、久方ぶりに楽しい時間が過ごせそうじゃ。ワシはゼフェル。お嬢ちゃんの名は?」
  リリ「……リリ」
ゼフェル「いい名じゃ。末永くよろしくな、リリ」
  リリ「だからちょっと待ってってばー!!」