「頑張らなくてもいいんだよ」
作:あやどりみつき 2019/09/11
亜咲:15 由宇:14
亜咲(あさき)
姉。社会人二年目。
しっかり者の長女だけど最近残業続きで疲労がやばめ。
由宇(ゆう)
弟。大学一年生。
姉を心配する優しい青年。
亜咲「うぅ……疲れた。ただいまぁ」
由宇「おかえり、姉さん。お疲れ様、大丈夫?」
亜咲「由宇、あんたまだ起きてたの? もう一時過ぎよ?」
由宇「子供じゃないんだから心配いらないよ。それより姉さんこそ、仕事上がりでこの時間?」
亜咲「う……言わないで。あたしだって、定時とは言わないから、もう少し早く帰りたかったのよ」
由宇「仕事……そんなに多いの?」
亜咲「それもあるけど、社員が今年入って三人辞めたの」
由宇「え。聞いてないんだけど」
亜咲「言わなかったからね」
由宇「いやいや、それヤバいじゃん。人員補充してないの?」
亜咲「人事に言って。してるはずとは思うけど、採用状況とか知らないし」
由宇「……明日も、定時出社、なんだよね」
亜咲「ええ。ごはんある?食べたら寝るわ」
由宇「でも、お風呂入った方がいいよ。疲れ取れるし」
亜咲「お湯残ってる?」
由宇「姉さんがご飯食べてる間に沸かしとくから」
亜咲「いいの?由宇……あんたが天使に見えるわ」
由宇「そのくらいしか出来ないし。でもさ、姉さん」
亜咲「んー?」
由宇「本当に辛くなったら、姉さんも辞めたっていいんだからね」
亜咲「……そういう訳にはいかないわよ」
由宇「いいんだよ。姉さんが身体壊すくらいなら辞めちゃえば。父さんも母さんも、心配してたよ」
亜咲「……そっか。だめね、しっかりしなきゃ」
由宇「姉さんは、そうやって頑張りすぎなんだよ」
亜咲「褒め過ぎ。おだてたって何も出ないわよ」
由宇「何もいらないよ」
亜咲「……ありがとね、由宇。正直、あんたがいてくれて、助かる」
由宇「愚痴聞くくらいしかできないけどね」
亜咲「十分よ。さーって、ご飯ご飯」