「例えば君は何を願うか」
作：あやどりみつき 2019/09/13
ハルヤ：11 ヒジリ：10
望月ハルヤ（もちづきはるや）
現代において秘された異能の持ち主。やや達観した青年。
新ヒジリ（あらたひじり）
異能の存在を知らない少女。ハルヤに密かに想いを寄せている。
ハルヤ「ねぇ、ヒジリ。もしも願いを何でも叶えてあげるって言ったら、君は俺に何を願う？」
ヒジリ「どうしたの？突然」
ハルヤ「例えば、だよ。例えばの話」
ヒジリ「んー、そうだなぁ。願いを何でも、って急に言われても」
ハルヤ「本当にどんなことでもいいからさ。言ってみてよ」
ヒジリ「うーん……。あは、思いつかないや。例えばハルヤに願って叶えて欲しいことなんて」
ハルヤ「……何もない？」
ヒジリ「ハルヤに願うこと……ねぇ。ハルヤに元気で居て欲しいとか、そういうことくらいかな」
ハルヤ「……俺に？」
ヒジリ「うん。自分のことは、自分で何とかするし、世界平和とか、そういうのもヒトに頼むものじゃないし」
ハルヤ「そうか……。しっかりしてるというか、無欲というか」
ヒジリ「やだな。無欲なんかじゃないよ。ただ、ハルヤにそういうのをお願いしたくないっていうだけ」
ハルヤ「どうして？出来ることなら本当に叶えてあげられるかもよ？」
ヒジリ「やだな、例え話でしょ。それに、もし出来るとしても、それを叶えるのは自分でいたいの」
ハルヤ「願いを叶えるのは、自分でいたい……か」
ヒジリ「意地みたいなものかもね」
ハルヤ「いいんじゃないか？俺は、悪くないと思うよ」
ヒジリ「……そうかな。ありがと。その分、自分ががんばらなきゃいけないんだけどね」
ハルヤ「応援するよ。ヒジリの願いを、ヒジリが叶えられるように」
ヒジリ「ありがとう……私、がんばるよ」
ハルヤ「彼女が自分の力で願いを叶えられる世界であるように。俺も、俺にできることを、しよう」