「君のためなら」
作：あやどりみつき 2019/09/14
ツクヨ：15 キラ：15
遠見キラ（とおみきら）
病弱な青年。ツクヨが戦っていることを知っている。
加賀ツクヨ（かがつくよ）
世界の危機と戦う少女。
キラに恋しており、彼を救えない自分を無力だと思っている。
ツクヨ「キラ……また、この病室なんだな」
キラ「うん。もう半ば以上自分の部屋みたいな気分だよ」
ツクヨ「笑い事じゃないだろう。何度目の入院だ。折角落ち着いていたと思ったのに」
キラ「怒らないでよ。俺だって、好きで入院したわけじゃないんだからさ」
ツクヨ「わかっている。けれど……正直、毎度お前が入院したと聞くと気が気じゃない」
キラ「大丈夫だよ、今までだって何とか持ち直してるんだから。そう簡単に死んだりしない」
ツクヨ「当たり前だ。お前に死なれたら……私の努力が無駄になる」
キラ「無駄じゃないよ。世界を救ってるんだから、ツクヨの努力はすごいことだよ」
ツクヨ「誰の為だと思ってる」
キラ「そうだね……俺の為、だよね」
ツクヨ「わかって、いるなら……」
キラ「君がいる世界を、俺は綺麗だと思うよ」
ツクヨ「突然、何を……」
キラ「だからさ、ツクヨがいるから、俺はがんばって生きようとできるってこと」
ツクヨ「それって」
キラ「好きだってことだよ。君が俺を想ってくれるように、俺も」
ツクヨ「明日私が死ぬんじゃないだろうか」
キラ「それは困るな。退院しないとデートもできないのに」
ツクヨ「う……どうして、今応えてくれたんだ？」
キラ「自分を励ますため、みたいなものかも」
ツクヨ「そうか。心配するな、世界は明日も明後日も、キラが生きる限り私が守る」
キラ「じゃあ、世界を守るためにも俺は死ねないんだね」
ツクヨ「そういうことだ。責任重大だぞ」
キラ「がんばったらご褒美を要求してもいい？」
ツクヨ「内容による」
キラ「退院したら、キスさせて」
ツクヨ「……なっ」
キラ「はは、約束だよ」
ツクヨ「いいとは言ってない！ばか、聞け人の話を！」
キラ「あはははは」