「甘い夢」
作：あやどりみつき 2018/12/06
私:8 獏:8
私「ん…うん…？ あれ、ここは？」
獏「ここは夢の中だよ。君は悪い夢にうなされていたんだ」
私「悪い夢？ 私が？ そんな訳ないよ。だって、私が見てた夢は彼が出てきてくれたんだから」
獏「それでも、それは悪い夢だ。僕が食べてしまった、悪い夢だよ」
私「食べて、しまった？ どうして……？返して、返してよ！ 彼との夢、私の夢！！」
獏「それは出来ない。あれは甘いけれど、君にとっては毒のような悪夢だから」
私「嫌、嫌……だって、もう夢でしか会えないのに。彼のこと……このままじゃ忘れちゃう……」
獏「忘れなければいけないんだよ。甘い夢にいつまでも溺れていては、君は現実を生きていけなくなってしまうから」
私「彼のいない現実なんていらない！」
獏「逃げないで欲しいんだ！ 君に生きていて欲しい……そう願う人がいるんだよ。
だから、そんな風に現実から目を背けないで」
私「なんでよ……なんで、そんなこと言うのよ。あなただって結局ただの夢のくせに！」
獏「……君を、待ってるんだ。君が気付いてくれるのを、ずっと、ずっと待っていたんだ。
だけど、君の目はいつだって現実を見ていないことに気付いた。だから……今の僕はここにいる。」
私「なに、それ……意味わかんない」
獏「わからなくていいよ、今はまだ。だけど君が毒のような甘い夢から覚めたら……その時は覚悟をしておいて？
きっと夢のような甘い、甘い現実を君に教えてあげるから」
私「ちょっと、まって。待ってよ！ ねぇ！」
獏「もう目を覚ます時間だよ。さよなら、おはよう。そして……」