温度

孤独だった

寒さも知らなかった

それが当たり前だったから

誰もいなくて 何もいらなくて

ただ何かが恋しかった それが何なのかも知らなかったけれど


君と出会って
君に惹かれ

欲しかったものに気付いた

君が教えてくれたこと 覚えてしまった温かさ


呼ぶ声は僕の耳に優しく
向けられる笑顔に心が溶けて
凍えていた手に君の掌は温かくて


「悲しいの?」

止め処なく零れる涙
言葉にならなくて ただ首を振る

「大丈夫だよ」


触れた手を強く握る
言葉にできなくて ただ頷いた


知らなかったんだよ

 心が溶けて 溢れる涙
 それさえ温かいなんて……


冷たさを知っているから
温もりが愛おしく思える



 この温度は かけがえのないもの