「時計」

止まる一瞬前

最後の音は、やけに大きく響いた




変わり映えのしない
退屈な日常

僕らはそれが
多分いつまでも続くのだと思っていた

ずっと動き続けている
時計の針を止まっていると勘違いしていたんだ



その瞬間は本当に
ある日突然訪れた


別れ

出会いの裏側

二度と会えない


僕ら、は、僕になってしまった




耳が痛くなるくらいの静けさ

それは君を欠いた世界そのもの



鳴り続けていて
突然に消えてしまった当たり前の音


君と言う存在


僕らにとっての時間
それを刻む時計




失って
初めて解る事があると


知った


知りたくなかった



止まってしまった僕らの時計は

電池を入れても
発条を巻いても

二度と動くことはない



この世のどこを探しても
代わりなんて見つからない



聞きたいのに
もう一度聞きたいのに



僕らが奏でていた

僕らだけの時間を




君がいた世界の音を